東京都千代田区 様

- 物価高騰給付事業支援
- 自治体・官公庁
- 物価高騰対策「区民の暮らし支援」を一気通貫で委託。
- 職員わずか2名で全区民への給付を実現。少人数でも質とスピードを両立。
地域振興部 コミュニティ政策担当課長 清水 学 様
取材時期:2026年6月

地域振興部 コミュニティ政策担当課長 清水 学 様
取材時期:2026年6月

千代田区は、東京都23区のほぼ中央に位置し、皇居を中心に、官公庁やオフィス・大学が集積する東京都心の区です。昼間人口と夜間人口の差が大きいという特性を持ちながら、近年は定住人口も増加。区民一人ひとりの暮らしに寄り添った行政サービスの提供に取り組んでいます。
物価高騰が続く中、食料品や日用品など生活必需品の価格上昇による区民の家計負担を軽減するため、千代田区様は国の交付金を活用し、全区民(約7万人規模)を対象としたプリペイド式ギフトカードの配付事業を実施。
当社では、ギフトカードの製造・調達から、リーフレット等の作成、封入・封緘、発送、コールセンターの運営までを一貫してご支援しました。
自治体名 | |
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サービス詳細 |
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―――アテナにご依頼いただいている業務内容を教えてください
主にギフトカードの製造・調達、そして封入・封緘、リーフレットの印刷一式、実際の配送作業、それとコールセンターによる問い合わせ対応まで、給付に関わる業務を一貫してトータルで委託させていただきました。
―――本事業を実施された経緯を教えてください
第一弾を担当する頃、ちょうど物価の高騰が一段と加速するような状況でした。5kgのお米が4,000円を超えるといったことがニュースにもなっている中で、お住まいの方の家計負担を軽減したいという背景がありました。

制作した販促ツール類
―――他の給付方法と比較されたうえで、ギフトカードを採用された理由はありますか
比較した手法は現金給付です。コロナ禍の全国民への10万円給付もありましたので、「給付といえば現金」というところは真っ先に検討しました。ただ、現金を全住民に給付するとなると、職員のマンパワー・経費・場所という内部的な問題があります。
さらに、受け取る住民の方にも、申請書に口座番号を記入して郵送し、不備があれば差し戻し…と、どうしても手間がかかります。迅速に進めるという面で、現金には壁がありました。
その点、プリペイド式のギフトカードは申請不要で、お送りするだけで給付が完了できる。そこに着目しました。
―――業務委託を検討された経緯を教えてください
全住民に給付するとは決めたものの、我々もマンパワーが非常に限られています。とにかく少ない職員数でこの業務を回していく必要があるというのが大前提でした。現金給付の時は、専任と兼任の職員合わせて10名程度必要になることもあり、他の部署からも職員をかき集める必要がありました。
そうなると、本来の業務で発揮できるはずの力を給付だけに集中させてしまい、広い意味では住民サービスが薄くなってしまいます。
ですから、今の部署の少ない人数でやりきることが非常に重要だと考え、外注できる仕事はなるべく全てお願いできるように、という発想で委託しました。

―――委託にあたって、どのような課題・懸念点がありましたか
最も大きかったのは、個人情報の取り扱い、情報セキュリティです。
区役所は住んでいる方全員の個人情報を扱いますから、しっかりとしたセキュリティ品質のある事業者さんにお任せするという選択肢もあるのではないか、ということが区の中で初めて主要な議題として挙がってきました。これが当初の課題でした。
―――業務委託の際に、大変だったことはありますか
1つは、やはり情報セキュリティ部門とのやり取りです。個人情報を委託することへの庁内的な整理がありました。
もう一方で、給付はとにかく早く進めたかったので、委託の決定と同時並行で、より詳細なオペレーションを固める企画立案を進めていく必要がありました。そこは少し苦労したところです。
ただ、お任せした後の立ち上がりは非常に早かったです。おかげで早く軌道に乗せることができ、仕様書どおりのタイミングで無事に発送・差し出しまで完了することができました。
―――委託いただいた結果、どのようなメリットがありましたか
作業に関するところを、ほとんど全てと言っていいくらいトータルで委託できたのが非常に大きなポイントでした。
丸ごと委託すると言っても、区の職員が何もしないわけではありません。職員には職員の役割があって、給付のルールや制度をしっかり作り、効果的に周知をする。その制度の企画立案等に全集中することができました。
封入・封緘やカードの調達は、むしろアテナさんのような一貫したノウハウをお持ちのところにお願いできたので、お互いの得意分野を生かして、質とスピードの両方を追求できたと思っています。

※当社の封入・封緘作業の様子

―――区職員様の工数は、どの程度削減されましたか
削減されたのは、まさにカード業務にあたっての作業の部分です。カード自体の調達、文書の印刷、封入・封緘、発送、問い合わせ対応、そして在庫管理に至るまで、この辺りの仕事が丸ごと削減されました。
現金給付の時は10名近くのチームで給付業務に専念していましたが、今回は係長と担当の2名です。2名というだけでも他の自治体よりかなり少ないのですが、さらにこの2名は他の仕事も抱えながら、担当業務の一つとしてこれに携わっています。
人数を抑えられただけでなく、その2名すら専任ではなく兼務で対応できた。2つの意味での人員の有効活用が、委託によって実現しました。職員の数を増やすことは難しいので、職員のパフォーマンスを最大限に発揮できたのは、本当にありがたい話です。
―――委託で作業を任せた分、職員の方はどのような役割を担われましたか
広報・周知には非常に力を入れました。カードの使い方の手順を資料にまとめたり、ホームページで公表しました。
また、区の広報担当部門とも連携し、千代田区公式YouTubeでカードの使い方の動画を展開することもできました。
カード形式での給付は非常にメリットのある手法ですが、一方で受け取る住民の方からすると、現金と違って利用に一定の制約があります。他の自治体でも、そこで戸惑うお店や住民の方がいらっしゃったと聞いていました。
作業の部分を丸ごとお願いできたからこそ、我々職員は他の自治体で見えてきた課題をしっかり分析し、想定される事象を洗い出して、そこに先手を打って広報をかけていく。そうした取り組みが区の職員の主な役割だったと思います。
―――第二弾を実施された決め手を教えてください
第二弾は国からの要請に基づくもので、物価高騰対策はどの自治体にも共通する課題になっていました。
千代田区としてどう対応するかを検討した際、選択肢はほぼ一つ、第一弾と同じようにこのカードの配付を再実施するというやり方でした。決め手になったのは、第一弾でアテナさんに円滑に実施いただいたという実績です。全く同じ手法であれば迅速に再現ができるということで、区役所内で協議し、「もう一度やろう」と決まりました。

配付したギフトカード
―――第二弾でカード方式を継続された、理由は他にもありますか
プリペイド式のクレジットカードなので、使われた状況がデータで見えてきます。給付したうちどれだけが実際に使われたか、千代田区内で使われたのか区外なのか、生活支援としての効果や区内での経済効果を、実際に見える形でデータとして取ることができました。税金を使って全員に給付する以上、「それは本当に効果があったのか」にしっかりお答えできる状態になったことが、第二弾の決め手の一つでもありました。
―――第二弾では、準備にかかる工数に変化はありましたか
第二弾の工数は、第一弾に比べれば格段に少なくなっています。
情報セキュリティの構築や基本的な流れはすでにできあがっていますので、「今回は何人分ですね」「これを配りましょう」と、事前の業務構築が済んだ状態で進められました。その分、削減できた工数を利用者の使い勝手の向上に充てることができました。
第一弾で「一部店舗で使えなかった」といった事例があったので、第二弾では店舗側にも直接ご説明し、現金と併用できる店舗を一覧にしてホームページで提供するなど、住民の声を形にする取り組みを重視しました。
―――住民の方からの反応・声はありましたか
生活必需品の購入支援として始めたサービスですので、純粋に「助かった」「ありがたい」というお声を、SNSなどで目にすることが多かったです。
コールセンターには使い方に関する相談が寄せられましたが、初めてカードを手にされる方の戸惑いにも適切にご対応いただきました。第二弾では特に好意的なご意見が多かったと感じています。

―――庁内や他自治体からの反応はいかがでしたか
庁内では「少ない人数でよくできたね」という反応が多くありました。
他の仕事もしながら、数ある業務の一つとして対応していること自体が、驚きを持って受け止められていたと思います。
第二弾では、国の要請を受けて全自治体が物価高騰対策を行うことになり、千代田区が先行している情報が出たことで、いろいろな自治体から「どうやったんですか?」と、一時は電話が鳴り止まないほど問い合わせがありました。特に「2人だけで対応している」という点には、皆さん非常に驚かれていました。
―――自治体業務にBPOを活用することについて、導入前後で印象は変わりましたか
大きく変わりました。これまでもさまざまな部署で、複数の事業者さんと業務委託の契約を結んできました。ただ、これまでの業務委託は「大変な部分を部分的にお願いする」「役割分担して、作業の一部だけをお願いする」というイメージでした。
今回は単なる作業の委託ではなく、一貫して委託させていただきました。これがおそらくアテナさんの言うBPOに該当するのだと思います。
そうした視点で、改めて「BPO」を考え直した時に、印象がはっきり変わりました。
区の職員には職員の得意領域があり、事業者さんには事業者さんの得意領域がある。これが組み合わさることで、より質の高いパフォーマンスが生まれます。そして職員の負担が減っただけでなく、それによって企画調整力や交渉力といった力が格段に向上していく。BPOというのは、我々の仕事の質を高めるものなんだ、そう実感し、自治体職員としての業務精度も上がったと感じています。
―――今後、自治体全体としてBPO活用が広がる可能性をどう感じますか
広がる可能性は大いにあると感じています。生産年齢人口が減少し、採用も難しくなっていく中で、職員の数を大きく増やすことは困難です。一方で、住民のニーズは複雑化・多様化しており、職員は増えないけれど仕事は増えていく、という世の中になっていくと考えています。
そうした中でBPOを適切に活用していけば、職員は企画立案力を高めながら質の高い仕事をしていくことができます。
大切なのは、自治体が事業の狙いを明確にし、職員と委託事業者との間で議論を重ねることです。そのうえで両者の役割を整理することで、BPOの効果は最大化されると感じています。まずは大規模・定型の業務から広げていくことが、一つのステップだと思います。

※右側:株式会社アテナ 営業開発部 土肥 慶斗(本案件担当者)

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