株主優待制度の導入と運用~人事・総務担当者が知っておくべきポイント~
目次[非表示]
- 1.はじめに
- 2.株主優待制度の導入における基本知識
- 2.1.目的の明確化
- 2.2.対象株主の決定
- 2.3.優待内容の設計
- 2.4.法的規制の理解と順守
- 3.おすすめの優待品
- 4.優待品取扱い時の注意
- 4.1.自社製品
- 4.2.商品券・ギフトカード
- 4.3.食品
- 4.4.体験型サービス
- 4.5.カタログギフト
- 5. 株主優待業務を効率的に進めるためのポイント
- 5.1.リソースの適正配分
- 5.2.内部コミュニケーションの強化
- 5.3.定期的な評価と改善
- 6.まとめ
はじめに
企業の人事・総務担当者が株主優待制度を新たに導入する際、多くの準備と知識が求められます。株主優待は単なる「おまけ」ではなく、株主価値の向上、株主との良好な関係構築、ブランドイメージの強化など、企業にとって多大な利益をもたらす可能性があるため、慎重に計画することが必要です。
※株主優待を行うことのメリットについてはこちらでご説明しています
株主優待制度の導入における基本知識
目的の明確化
株主優待の目的は何かを明確に定義し、それに基づいた具体的なプランを作成します。例えば、長期保有を促すためのインセンティブの提供か、あるいは企業の製品やサービスの体験機会を増やすためかなど、目的に応じた優待内容が求められます。
対象株主の決定
どの株主に対して優待を行うか(例:一定期間以上の保有者、一定数以上の株式を保有している者など)、対象範囲をどう設定するかが重要です。対象を広げれば広げるほどコストも増加するため、バランスを見極める必要があります。
優待内容の設計
市場調査や株主アンケートを活用して、株主が実際に欲しいと感じる優待内容を考えます。また、企業の商品やサービスを活用することで、株主との接点を増やし企業価値の実感を高めることも効果的です。
法的規制の理解と順守
株主優待には関連する法律や税制が存在し、会社法等の規定を遵守しなければなりません。法務部と連携し、適切にプログラムを運用するための体制を整えることが必要です。順守すべき詳細については、顧問弁護士や顧問税理士にお問い合わせください。
おすすめの優待品
株主優待品の選定には、ターゲットとなる株主の好みやニーズを把握することが重要です。以下に、一般的に人気のある優待品のカテゴリーを紹介します。
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自社製品の提供
:自社の製品やサービスを優待品とすることで、製品のPRと株主との接点の両方を増やすことができます。
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商品券・ギフトカード
:株主が自由に商品を選べるため、幅広い年代に対応可能です。
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食品
:季節の果物や特産品、高級スイーツなど、広く株主に喜ばれるアイテムです。
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体験型サービス
:レストランのディナー券、温泉宿泊券など、特別な体験を提供する優待は記念特需にもつながります。
- カタログギフト
:食品、雑貨、家電、体験型ギフトなど、幅広いジャンルの中から好みに合った商品を選ぶことができるため
これらの優待品は、株主に喜ばれるだけでなく、企業側のブランドイメージアップや製品の宣伝に繋がる効果も期待できるため、多くの企業が競って創意工夫を凝らしています。株主がどのような優待を望んでいるかを定期的に調査し、企業がそのニーズに応えることが重要です。
優待品取扱い時の注意
取り扱う優待品による注意点は以下の通りです。
自社製品
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製品情報の提供
:安全性や使用方法を明確にし、必要であればサポートやアフターケア情報も提供することが望ましいです。
- 在庫管理
:優待品としての需要を見込んで在庫を適切に管理することが重要です。
商品券・ギフトカード
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セキュリティ管理
:紛失や盗難時の対策として、ギフトカードの番号等のセキュリティ対策をしっかりと行い、安全に配布できる体制を整える必要があります。
- 有効期限の明示
:商品券やギフトカードには有効期限が設けられていることが多いため、それを明確に伝えることが必要です。
食品
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品質管理
:食品は腐敗や変質が起こり得るため、適切な保存条件を維持しながら迅速に配送する必要があります。
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アレルギー情報の提示
:配布する食品に含まれるアレルギー物質を明記し、株主が事前に情報を把握できるようにすることが重要です。
- 配送日の調整
:特に生鮮食品の場合、配送日や受け取り可能日を事前に調整して、受取人が不在で返送される事態を避けるべきです。
体験型サービス
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利用条件の提示
:使用できる期間、場所、必要な予約条件など、利用に際しての条件を具体的に株主へ伝える必要があります。
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キャンセルポリシーの確認
:体験型サービスのキャンセルポリシーを明らかにし、株主が理解しやすいように伝えることが重要です。
カタログギフト
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申込方法の選定
:紙の申込やオンライン申込など、株主様の年齢層を考慮した選定が必要です。
- 発送方法
:優待品選定に先立ち、カタログの送付が必要となります。カタログも冊子タイプやカードに印字されたQRから読み取るタイプ等様々あるため、優待品送付時の送料についても比較が必要です。
これらの注意点を確実に守り、株主が安心して優待品を受け取れるよう配慮することは、企業の信頼性を高めるためにも重要です。
株主優待業務を効率的に進めるためのポイント
リソースの適正配分
株主優待業務だけでなく、株主総会の運営やIR業務など他の株主関連業務にも十分なリソースを配分することが重要です。業務過多にならないよう外部の専門業者の活用も検討しましょう。
内部コミュニケーションの強化
株主優待制度の運用は多くの部署を巻き込むため、部署間の連携と情報共有が欠かせません。定期的なミーティングや共有システムの活用を通じて、スムーズなコミュニケーションを確保しましょう。
定期的な評価と改善
株主優待制度の運用効果は導入後も定期的に評価し、必要に応じて内容を見直すことが重要です。株主の反応や市場の変化に応じて柔軟にプランを調整することが、制度成功の鍵を握ります。
まとめ
株主優待制度の導入は、人事・総務担当者にとって多大な労力と時間を要するプロジェクトです。しかし、適切に実行すると企業と株主双方にとって大きな利益をもたらすことができます。事前の準備と計画をしっかりと行い、株主価値の最大化を目指しましょう。
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