
通知書発送は内製か委託か?最適な運用方法と委託先の選び方|セキュリティ・音声コード対応も解説
契約内容の変更通知や保険料のお知らせ、各種決定通知など、送付期限が決まっている通知書の発送を社内で担当していると、「発送の時期だけ人手が足りなくなる」「宛名と中身の入れ違いが起きないか不安」と感じる場面も多いのではないでしょうか。
さらに近年は、個人情報の厳格な管理に加えて、視覚障がいのある方への配慮として音声コードの印字を求められるケースもあり、通知書の発送に求められる要件は多岐にわたります。こうした要件を社内だけで満たし続けるのが難しい場合は、印刷のみ、あるいは発送業務全体を外部に任せるという選択肢もあります。
本記事では、通知書の発送業務を「内製」「部分委託」「一括委託」の3つに分けて比較し、セキュリティとアクセシビリティの観点から自社に合った運用方法を選ぶための判断基準、委託先の選び方、委託に切り替える際の進め方を解説します。
- この記事でわかること
- 通知書の発送工程ごとに起こりやすいミス・情報漏えいのリスク
- 内製・部分委託・一括委託の3つの運用方法の違い
- セキュリティと音声コード対応を、運用方法ごとにどう満たすか
- 自社に合った運用方法と委託先の選び方
目次[非表示]
- 1.通知書の発送に潜む誤送付・情報漏えいのリスク
- 1.1.通知書が届くまでの6つの工程
- 1.2.誤送付が起きやすいポイント
- 1.3.情報漏えいが起きやすいポイント
- 1.4.通知書ならではの3つの制約
- 2.通知書発送の運用方法は3つ|内製・部分委託・一括委託を比較
- 2.1.3つの方式と、それぞれで自社に残る仕事
- 2.2.3つの方式の比較表
- 3.通知書発送でセキュリティを確保する実務ポイント
- 3.1.データの受け渡しと管理
- 3.2.印字・出力時の点検
- 3.3.封入・照合時の点検
- 4.通知書のアクセシビリティ対応の選択肢|音声コード
- 5.要件別に見る通知書発送の最適な運用方法
- 5.1.判断が変わる4つの観点
- 5.2.外部委託を検討したい3つのサイン
- 6.通知書発送の委託先を選ぶポイント
- 6.1.委託先の3つのタイプ
- 6.2.委託先を見極める4つのチェックポイント
- 7.通知書の発送に関するよくある質問
- 8.まとめ|通知書発送の運用方法は自社の要件に合わせて選ぶことが大切
通知書の発送に潜む誤送付・情報漏えいのリスク
通知書が届くまでの6つの工程
通知書の発送は「印刷して封筒に入れるだけ」と思われがちですが、実際には複数の工程を経て受取人のもとへ届きます。
また、内容が発送先ごとに異なる場合は、すべての工程で「宛名と中身の一致」を保ち続けることが求められます。

01|帳票設計
通知内容のレイアウトや、窓付き封筒の窓に宛名が収まる位置などを設計する
02|発送データの精査
住所の表記ゆれや重複、転居情報などを確認し、発送対象を確定する
03|可変印字
宛名や金額、契約内容など、1通ごとに異なる情報を印字する
04|折り
封筒のサイズに合わせて通知書を折る
05|封入・封緘
通知書と同封物を封筒に入れ、封をする
06|差出
通数を確認し、郵便局へ差し出す
誤送付が起きやすいポイント
誤送付は、封入作業だけでなく複数の工程で起こる可能性があります。
- 発送データの精査:古い住所のまま発送し、本人以外に届いてしまう
- 可変印字:データの行ずれにより、ある人の宛名に別の人の通知内容が印字される
- 封入・封緘:複数枚の通知書を封入する際に、他人の書類が混入する
誤送付は単なる作業ミスにとどまらず、個人情報の漏えいにもつながります。件数や内容によっては、個人情報保護委員会への報告や本人への通知が必要になる場合もあります。
情報漏えいが起きやすいポイント
通知書の発送では、発送データという個人情報を扱う場面が数多くあります。
- データの受け渡し:メール添付やストレージサービス、外部記録媒体で宛名データを受け渡す際に、誤送信や紛失が起こる
- 作業中の管理:印刷済みの帳票や、印刷ミスで出た用紙の保管・廃棄が徹底されていない
- 作業場所への出入り:作業スペースに担当者以外も自由に出入りできる
通知書ならではの3つの制約
通知書の発送には、通知の内容によって以下のような制約があります。
- 送付期限がある:契約や制度で通知の期日が決まっている書類も多く、発送の遅れが許されない。
- 個人情報を含む:氏名・住所に加え、契約内容や金額など機微な情報を扱うことがある。
- アクセシビリティへの配慮:視覚障がいのある方に向けて、音声コードの印字等の対応を求められる場合がある。
これらの制約をすべて社内で満たし続けるには、相応の人員と仕組みが必要です。次の章では、通知書発送の運用方法を3つに分けて比較します。
通知書発送の運用方法は3つ|内製・部分委託・一括委託を比較
3つの方式と、それぞれで自社に残る仕事
通知書発送の運用方法は、どこまでを外部に任せるかによって大きく3つに分けられます。外部に任せる範囲が広がるほど自社の作業は減りますが、委託先とのやり取りや管理の仕方が変わります。
内製
外部に任せる範囲:なし
自社に残る仕事:発送データの精査から差出まで全工程。設備と人員の確保も含む
部分委託
外部に任せる範囲:印刷のみ、封入から差出まで、差出のみなど、一部の工程
自社に残る仕事:委託しない工程と、自社と委託先の間でのデータや印刷物の受け渡し
一括委託
外部に任せる範囲:データの受け渡し以降の工程(帳票設計から差出まで)
自社に残る仕事:発送データの作成と受け渡し、校正・最終確認、委託先とのやり取り
3つの方式の比較表
3つの方式を、立ち上げ負荷や情報管理など6つの観点で比較すると次のとおりです。
比較項目 | 内製 | 部分委託 | 一括委託 |
|---|---|---|---|
立ち上げ負荷 | 設備・人員の確保が必要で、負荷が大きい | 委託する工程の設備は不要。残る工程の体制は自社で用意する | 要件の整理とテスト発送が中心 |
繁忙期の対応力 | 社内人員の上限に左右される | 委託した工程は委託先が対応できるが、自社に残る工程で滞りやすい | 委託先の処理能力で対応しやすい |
品質の安定 | 担当者の経験や習熟度に左右されやすい | 委託した工程は安定しやすい。工程の境目での照合は自社の仕組み次第 | 照合の仕組みが整った委託先であれば安定しやすい |
情報管理 | データを社外に出さずに済む一方、社内の管理ルール整備が必要 | 自社と委託先の間で受け渡しが発生し、両方で管理する | 受け渡しは発生するが、管理の窓口を委託先に一本化できる |
自社に残る工数 | 多い | 中程度(委託する範囲による) | 少ない |
音声コード対応 | 専用ソフトの導入や印字精度の確認が必要 | 印字を委託する場合は、委託先の対応可否による | 帳票設計から一貫して対応できるかは委託先による |
上記の内容を踏まえて、自社の発送通数や体制、求められる要件に合っているかどうかが選ぶ際のポイントです。判断の基準は「要件別に見る通知書発送の最適な運用方法」の章で詳しく解説します。
- 通知書発送業務の外部委託事例
通知書発送でセキュリティを確保する実務ポイント
誤送付や情報漏えいを防ぐために押さえておきたい実務は、どの運用方法を選んでも変わりません。委託する場合は、これらの管理を委託先がどのように担っているかが確認のポイントになります。
データの受け渡しと管理
発送データは、通知書の発送で扱う最も重要な情報です。
- 受け渡し方法:メール添付は避け、暗号化した通信や専用の受け渡し環境を利用する
- 受け渡しの記録:いつ・誰が・何件のデータをやり取りしたかを残す
- 作業後の扱い:発送完了後のデータ削除や返却のルールを決めておく
部分委託の場合は、工程の境目で印刷済みの通知書を運ぶ場面も生まれます。個人情報が印字された書類が封入前の状態で移動するため、輸送中の紛失や取り違えにも注意が必要です。
印字・出力時の点検
可変印字の誤りは、封入後に見つけるのが難しくなります。印字の段階で次のような点検を行っておくと、封入前に誤りに気づけます。
- 件数の照合:データの件数と印字した枚数が一致しているか
- テスト印字:本番前に印字し、可変項目の位置ずれや、旧字体など特殊な文字の表示を確認する
- 抜き取り確認:先頭・末尾・途中の通知書を抜き取り、宛名と本文の内容が一致しているか
封入・照合時の点検
主な照合方法には次のようなものがあります。なお、1つの方法だけでは検出できない誤りもあるため、複数の方法を組み合わせることで精度が高まります。
- 厚み検品:封筒の厚みで、内容物の過不足を検出
- 重量検品:封入後の重量で、内容物の過不足を検出
- バーコード照合:宛名と内容物に印字したバーコードを照合し、誤封入を防ぐ
- カメラ照合:カメラで宛名面に印字されたシーケンス番号(通し番号)を読み取ることで、発送漏れを防ぐ

通知書のアクセシビリティ対応の選択肢|音声コード
アクセシビリティ対応が求められる背景
障害者差別解消法の改正により、2024年4月1日から、事業者による障がいのある方への「合理的配慮の提供」が法的義務となりました。音声コードの印字が一律に義務づけられているわけではありませんが、内容を正しく伝える必要がある通知書では、視覚障がいのある方への配慮として対応を求められる場面があります。
※出典:内閣府「障害者差別解消法」
音声コードとUD(ユニバーサルデザイン)
音声コードは、文字情報を格納した二次元コードで、スマートフォンのアプリなどで読み取ると内容が音声で読み上げられます。通知書の場合は受取人ごとに内容が異なるため、音声コードも1通ずつ作成し、宛名・本文と一致しているかを確認する工程が加わります。

※音声コードの種類や印刷時の規定は「音声コードとは?活用ガイドラインとその重要性」、印字から発送までの対応範囲は「音声コード印字サービス」で紹介しています。
あわせて、誰にとっても読みやすい帳票にするユニバーサルデザインの工夫も検討できます。
- 文字:読み間違えにくいUDフォントを採用し、文字サイズを大きめに設定する
- 色:背景と文字のコントラストを確保し、色の違いだけで情報を区別しない
- レイアウト:期限や金額など、特に伝えたい情報が目に入りやすい配置にする
自社で対応するか、委託するかの見極め方
音声コードを自社で印字する場合は、次のような準備が求められます。
- 作成環境:発送データから、1通ずつ異なる音声コードを一括で作成できる仕組み
- 印字精度の確認:印字したコードが正しく読み取れるかのテスト
- 照合の仕組み:宛名・本文・音声コードが一致しているかの確認方法
- 加工の手配:音声コードの位置を指で確認できるようにする切り欠き加工
要件別に見る通知書発送の最適な運用方法
判断が変わる4つの観点
どの運用方法が合うかは、会社ごとの状況によって異なります。判断の軸になるのは、次の4つの観点です。
内製が合う状態
- 発送通数と頻度:通数が少なく発送の頻度も低いため、社内の作業時間で期限内に終えられる。
- 時期の偏り:年間を通じて発送量が安定している。
- 求められる要件:社内の設備やルールで要件を満たせる。発送データを社外に出せない事情がある。
- 対応できる人員:複数の担当者が手順を把握し、引き継ぎもできている。
委託が合う状態
- 発送通数と頻度:通数が多い、または発送の頻度が高く、期限内に終えるのが難しい。
- 時期の偏り:特定の時期に発送が集中し、繁忙期だけ通常業務が回らなくなる。
- 求められる要件:個人情報の管理水準が高い、音声コード対応が必要など、社内では満たしにくい。
- 対応できる人員:担当者が限られ、休暇や異動で業務が止まりやすい。
外部への委託が常に最適とは限りません。急な文面の修正や少量の差し替えが頻繁に発生する場合は、社内で柔軟に対応できる内製のほうが合っていることもあります。また、運用方法は1度決めたら固定する必要はなく、通常期は内製で対応し、繁忙期だけ委託するといった組み合わせも選択肢の1つです。
外部委託を検討したい3つのサイン
次のような状態が続いている場合は、委託を検討するタイミングといえます。
- 特定の月だけ残業や業務の後回しが発生している
発送の時期に合わせて他の業務を止めている場合、目に見えないコストが発生しています。 - 宛名と中身の突き合わせを目視に頼っている
通数が増えるほど確認の負担が大きくなり、見落としのリスクも高まります。 - 手順を知っている担当者が限られている
担当者の異動や退職をきっかけに、発送業務そのものが回らなくなるおそれがあります。
通知書発送の委託先を選ぶポイント
外部委託を検討する場合、次に考えるべきはどう委託先を選ぶかです。
委託先の3つのタイプ
通知書の発送を受託する事業者は、成り立ちによって大きく3つのタイプに分けられます。どのタイプが合うかは、自社が求める条件によって変わります。
印刷会社型
特徴:印刷を起点に、電子配信や文書の電子化まで幅広く対応。
相性の良い条件:紙と電子の併用や、回収した書類の電子化まで見据えている。
データプリント専業型
特徴:大量の可変印字と封入照合に強みを持つ。
相性の良い条件:通数が多く、宛先ごとの可変の内容が複雑。
メーリングBPO型
特徴:大量発送を軸に、帳票設計から差出、発送後の不着処理や問い合わせまで対応。
相性の良い条件:発送後の不着処理や問い合わせ対応まで任せたい。
※タイプはあくまで目安です。1社で複数の特徴を持つ委託先もあるため、実際の通数や帳票の仕様、納期を伝えたうえで判断すると良いでしょう。
委託先を見極める4つのチェックポイント
タイプを絞り込んだら、次の4つの観点で委託先の体制を確認します。
point | 01 |
情報セキュリティ認証は「適用範囲」まで確認する
プライバシーマークやISMS(ISO/IEC 27001)の取得は、委託先の情報管理体制を判断する基本的な指標です。ただしISMSは、認証の対象が一部の拠点や部署に限られる場合があります。実際に作業を行う拠点が対象に含まれているかを、見積もりの段階で確認しておくと安心です。
point | 02 |
一貫作業か、再委託が発生するかを確認する
印刷・封入・発送を複数の会社で分担する場合、個人情報が印字された書類が、封入前の状態で会社間を移動することになります。1社の施設内で全工程が完結していれば、こうした受け渡し自体が発生しません。委託先が自社の施設内でどの工程まで行い、どの工程を他社へ再委託しているのかを事前に確認しておきましょう。
point | 03 |
封入照合の方法を具体的に確認する
「通知書発送でセキュリティを確保する実務ポイント」で紹介した照合方法のうち、どれを標準で行っているか、案件に応じた調整ができるかを確認します。照合の詳細を公式サイトに記載していない委託先もあるため、直接問い合わせて確認するのが確実です。
point | 04 |
データの受け渡し方法と作業エリアの管理を確認する
暗号化した通信や専用回線など、自社のセキュリティポリシーに合った方法でデータを受け渡せるかを確認します。あわせて、入退室の管理や私物の持ち込み制限など、作業エリアの管理体制も確認しておくと、委託後の運用をイメージしやすくなります。
通知書の発送に関するよくある質問
Q. 個人情報を含む通知書の発送も委託できますか?
A. 委託できます。ただし、個人情報保護法では委託元が委託先を適切に監督することが求められています。委託先の認証の適用範囲やデータの受け渡し方法、作業エリアの管理体制などを事前に確認しておくことが大切です。
Q. 音声コードは自社のプリンターで印字できますか?
A. 音声コードを作成するソフトと、正しく読み取れる精度で印字できる環境があれば、自社で対応できる場合もあります。ただし通知書では、1通ずつ異なるコードの作成や宛名・本文との照合、切り欠き加工などが必要になるため、通数や体制に応じて委託も含めて検討すると良いでしょう。
Q. 印刷だけ、発送だけといった部分的な委託はできますか?
A. 委託先によっては、工程単位での依頼に対応しています。部分委託の場合は、自社と委託先の間でデータや印刷物の受け渡しが発生するため、その方法やタイミングもあわせて確認しておきましょう。
Q. 委託する場合、どのくらい前から準備が必要ですか?
A. 発送通数や帳票の仕様、初めての委託かどうかによって異なります。初回は業務の棚卸しからテスト発送までの期間を見込み、発送時期が決まった段階で早めに相談するとスムーズです。
まとめ|通知書発送の運用方法は自社の要件に合わせて選ぶことが大切
通知書の発送は、発送データの精査から差出まで多くの工程があり、どの工程でも誤送付や情報漏えいのリスクが潜んでいます。運用方法には内製・部分委託・一括委託の3つがあり、どれが合うかは発送通数や時期の偏り、求められる要件、対応できる人員によって変わります。
セキュリティや音声コード対応など求められる要件が多い場合は、工程間の受け渡しを減らせる一括委託が選択肢になります。委託先を選ぶ際は、タイプごとの特徴を踏まえたうえで、認証の適用範囲や再委託の有無、封入照合の方法まで確認することが大切です。

「発送の時期だけ、通常業務が回らなくなる」
「宛名と中身の突き合わせを目視に頼っていて不安」
「音声コード対応を求められたが、社内では対応が難しい」
などの課題がございましたらぜひお気軽にご相談ください。
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