個人株主が増えた今、優待品をどう選ぶ?株主優待におけるプリペイド型ギフトカードの活用

個人株主が増えた今、優待品をどう選ぶ?株主優待におけるプリペイド型ギフトカードの活用

株主優待の優待品として何を選ぶか。
この判断は、以前より難易度が上がっています。株式分割による最低投資金額の引下げが進み、個人株主数は大きく増加しました。発送件数が増え、株主の年齢層や生活スタイルの幅も広がる中で、長年継続してきた優待品をそのまま維持することが、コストと満足度の両面で検討対象になりつつあります。
こうした状況を踏まえた選択肢の一つとして、プリペイド型のギフトカードがあります。

本記事では、株主優待をめぐる環境の変化を整理したうえで、優待品の種類ごとの特徴、プリペイド型ギフトカードを活用する際の利点と運用上の論点、そして優待品の決定後に残る事務工程までを解説します。

  •  この記事でわかること 
  • 株主優待をめぐる環境変化(株式分割による個人株主の増加)
  • 優待品6タイプの特徴と、選定で見るべき4つの評価軸
  • プリペイド型ギフトカードの利点(利用実績の把握・保管リスク・額面の後設定)
  • 優待品を決めた後に残る事務工程と、委託先選定の判断軸
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株主優待をめぐる環境変化と、優待品の前提の変化

優待品の選定を検討するうえで、まず整理しておきたいのが、この数年で株主優待の運用環境が構造的に変わっているという点です。制度の存廃をめぐる議論と、実務上の負荷をめぐる変化は、それぞれ別の要因で動いています。

廃止から導入へ、反転した直近の動向

2022年4月の市場区分再編では、プライム市場の株主数要件が旧東証一部の2,200人以上から800人以上へと緩和されました。
これに加え、株主平等の観点や配当重視への転換などを背景に、株主優待を廃止する企業が相次ぎました。株主数確保を目的として優待を導入していた企業にとっては、その必要性が相対的に低下したと考えられます。
一方、直近の動きは反転しています。2025年に株主優待の導入(再導入を含む)を発表した上場企業は175社、廃止は68社でしたが、廃止のうち38社はTOB・MBOによる上場廃止に伴うものであり、上場を継続している企業に限れば導入175社に対して廃止30社となります。
※出典:東京商工リサーチ「2025年の株主優待『導入』上場企業は175社」

会議室内にある黒い椅子が並べられた写真

2023年3月の「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」の要請以降、安定株主としての個人投資家の位置づけが再評価されていることが背景として挙げられます。優待制度そのものの是非より、制度をどう設計し、どう運用するかに論点が移っている段階です。

投資単位の引下げによる発送規模の変化

運用面でより直接的な影響を及ぼしているのが、投資単位の引下げです。
東証は2022年10月、投資単位が50万円以上の上場会社に対して引下げの検討を要請し、その後も継続して働きかけを行っています。新NISAの開始により投資の裾野が広がる中で、海外市場と比較した日本の投資単位の高さが課題として整理されてきた経緯があります。この結果として進んだのが株式分割です。

項目

数値

株式分割を決議した企業数(2025年度)

266社

うち投資単位を10万円台までに引下げ

約70%

分割実施企業の個人株主数の増加(中央値)

+44.2%

※個人株主数の増加は、2023年度から2024年度にかけて1:2以上の株式分割を実施した199社を対象とした集計値です
※出典:東京証券取引所「投資単位引下げに向けた取組状況」(2026年3月)

株主数が1.5倍近くに増えれば、優待品の調達数量、保管スペース、送料、封入作業のいずれも同じ比率で増加します。単価の低い優待品であっても、件数の増加分は総額に直接反映されます。とりわけ温度管理を要する商品や容積の大きい商品は、保管条件と輸送コストの双方で増加幅が大きくなりやすく、従来の運用をそのまま拡張できないケースが生じます。

なお東京証券取引所も、投資単位引下げを推進するうえでの課題として、株主数の増加にともなう株主向け提供書面の印刷・郵送費等の負担増が株式分割のハードルになっている点を整理しています。株主増加にともなう事務・発送負荷は、個社の課題にとどまらず市場全体の論点として認識されている状況です。

株主構成の変化と、一律配布の限界

発送規模と並行して検討が必要になるのが、株主構成の変化です。
最低投資金額の引下げは、これまで取得に至らなかった層の参入を促します。新NISAの利用状況に関する各種調査では、普及率が最も高い年代が従来の60代から30代へ移ったことが報告されており、投資に参加する層が現役世代へ広がっている傾向が見られます

年齢層・世帯構成・居住地域の幅が広がると、同一の優待品に対する受け取り方は一様ではなくなります。世帯人数に対して量が過剰になる、配送に日数を要する、そもそも利用機会がない——こうしたばらつきは株主数が限られている段階では顕在化しにくく、株主数の増加に比例して影響が大きくなります。

したがって、優待品の見直しが検討される理由はコスト増だけでなく、全株主に同一の現物を一律に配布するという設計そのものが、以前より成立しにくくなっていることが論点となります。次章では、この前提を踏まえて優待品の種類と評価軸を整理します。

優待品の主な種類と、選定で見るべき評価軸

優待品には複数の選択肢があり、それぞれに適した条件が異なります。

なお、優待品の種類とあわせて検討されるのが、保有株数に応じた設計です。 一定株数以上で一律とするか、株数の区分ごとに内容や金額に差を設けるかによって、 必要な調達品目と発送時の振り分けが変わります。区分を細かく設けるほど株主への 訴求は高まる一方、券種の管理や発送データの整備は複雑になります。

以下では代表的なタイプを整理したうえで、選定時の評価軸を確認します。

優待品の主な6タイプ

種類

内容

自社製品・サービス

自社の商品や割引券を提供

カタログギフト

選択肢の中から株主が選ぶ

金券・商品券

全国共通商品券・お米券など

デジタルギフト

コードをメール・WEBで配布

寄附

優待相当額を団体へ寄付

プリペイド型ギフトカード

残高入りのカードを送付

優待品として自社製品やサービスを提供する形は、事業への理解を促し、株主が顧客にもなり得る点で他のタイプにない意義があります。一方で、株主層と顧客層が重ならない場合は満足度にばらつきが生じるほか、調達数量の確定、在庫の確保、検品と保管、発送までの工程を自社で抱えることになります。株主数が増加した場合、この工程がそのまま比例して重くなる点は事前に見込んでおく必要があります。

これに対して、金券・商品券、デジタルギフト、プリペイド型ギフトカードは、いずれも額面が決まっているため株主数から総額を見積もりやすく、在庫や保管の負担も小さく収まります。ただし事務工程の重さは同じではありません。金券・商品券は封書での発送作業と金券を取り扱うセキュリティ管理体制を要し、デジタルギフトは発送作業自体が発生しない一方、受け取りにメールやWEBサイト上での操作を要するため、株主によっては受け取り自体が障壁となる場合があります。
株主構成や運用体制によって適した形は変わるため、複数の選択肢を用意し株主が受け取り方を選べる設計も可能です。
※関連サービス:金券・デジタルギフト活用支援サービス

ギフトカードを持つ手元の写真

寄附は調達も発送も発生しないため事務負担が最も小さく、総額の見通しも立てやすい形式です。一方で、還元を求める株主とは意向が分かれるため、実施する場合は制度の趣旨を明示した案内が前提になります。

選定で見るべき4つの評価軸

評価軸

確認したいこと

① 株主満足度

幅広い株主層にとって使い道があるか

② 事務・保管の負担

在庫管理・検品・セット組みがどこまで発生するか

③ コストの読みやすさ

株主数が変動しても総額を見積もれるか

④ 受け取りやすさ

受け取りに特別な操作や手続きを要しないか

前章で整理したとおり、株主数が増加し株主層が多様化した状況では、②の事務負担と④の受け取りやすさの比重が以前より増しています。この4軸で見たときに、比較的均衡が取りやすい選択肢として挙がるのがプリペイド型のギフトカードです。

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プリペイド型ギフトカードとは

仕組みと基本的な仕様

プリペイド型ギフトカードは、あらかじめ一定額がチャージされた状態で発行されるカード型のギフトです。VisaやMastercardなどの国際ブランドが付与されたタイプであれば、当該ブランドの加盟店において実店舗・インターネット通販のいずれでも利用できます。

一例として、プリペイド型Visaギフトカードの仕様は次の通りです。

項目

内容

形態

物理カード(封筒・台紙に封入して納品)

利用範囲

全国のVisa加盟店(実店舗・ネット通販)

カード仕様

使い切りタイプ/チャージして繰り返し利用できるタイプから選択

利用方法

レジで一回払い・カード払い/ネットはカード情報を入力

有効期限

発行時に設定可能

有効化・無効化

発行元へ有効化の依頼を行うことで利用可能に。
無効化を行うと、再び残高が使えない状態に戻ります。

受け取り側の手続き

不要。受領時点から利用可能です。

株主優待にプリペイド型ギフトカードを活用する利点

前章の評価軸に沿って、プリペイド型ギフトカードを優待品として採用した場合の利点を整理します。以下では一例として「プリペイド型Visaギフトカード」の仕様を挙げながら確認します。

受け取り手続きの不要さと、株主層を問わない利用範囲

最も大きな特徴は、受け取った株主側に事前の手続きが発生しない点です。
デジタルギフトの場合、メールの受信、サイトへのアクセス、コードの入力といった操作を経る必要があります。この工程が障壁となる株主については、優待が利用されないまま終わる可能性が残ります。
カード型であれば、受領したカードをそのまま店頭で利用できます。会員登録もアプリのインストールも要しません。株主層が広がっている状況では、利用可能な範囲が株主属性に依存しないこと自体が、優待品としての価値になります。

様々な人のミニチュア

株主自身による使い道の選択

現物の優待品は、株主の生活スタイルや嗜好との適合度によって満足度が大きく変動します。国際ブランドの加盟店で利用できるプリペイドカードであれば、食料品・日用品・外食・ネット通販のいずれにも充当でき、必要とするものを株主自身が選択できます。
株主構成が多様になるほど、使い道を本人に委ねられることの利点は大きくなります。

利用実績のデータ把握

従来の優待品では、発送後の利用状況を把握する手段がほとんどありませんでした。商品券や現物を送付した場合、実際に利用されたか、どのように利用されたかは確認できず、株主アンケートを実施しても回答が得られるのは一部の株主に限られます。
利用実績のレポートを提供できるものもあり、プリペイド型Visaギフトカードの場合、把握できる主な指標は次のとおりです。

PCでレポート結果をまとめている写真

カテゴリ

把握できる内容

利用件数・利用金額・利用日

優待がいつ、どれだけ利用されたかを時系列で把握

業種別の利用金額

どの業種で利用されたかの消費動向を把握

地域別の利用状況

地域ごとの利用状況を比較・分析

店舗別/利用先上位

利用の多い店舗をランキングで把握

これは優待の効果測定という観点で意味を持ちます。優待品の見直しにあたっても、利用実績のデータがあれば、次年度の優待金額の設定や予算配分、株主向け説明資料の作成において、根拠を伴う判断が可能になります。

保管時のリスクの低さと、発送負荷の軽減

現物の優待品には、調達、検品、保管、在庫管理、セット組み、梱包という工程が伴い、冷蔵・冷凍品であれば温度管理された保管環境も必要になります。

プリペイド型ギフトカードは封筒に台紙とカードを封入した状態で納品されるため、優待通知と合わせた封書での発送が可能です。株主数が増加した場合も、発送作業自体の負荷は現物と比較して軽く抑えられます。

さらに、納品時のカードは無効の状態にあり、残高が利用できるようになるのは有効化の処理を行った後です。発送作業を行う段階では金銭的価値を持たないため、金券や商品券を現物のまま保管する場合と比べ、保管環境のセキュリティ要件を抑えられます。有効化・ 無効化の処理は発送を担う事業者側で行えるため、発送のタイミングに合わせた運用を 組めるほか、配送中の紛失が判明した場合も個別に無効化して対応できます。

株主データ確定後に額面を設定できる柔軟性

保有株数や保有年数に応じて優待金額に差を設ける場合、現物や金券では区分ごとの数量を事前に確定させ、それぞれの品目を手配する必要があります。株主データが確定する までは正確な数量が読めないため、見込みで発注し、差分を後から調整する運用になり やすい領域です。

プリペイド型ギフトカードでは、カードの手配と額面の設定を切り離せます。カードは無効の状態で確保しておき、株主データが確定した段階で区分ごとの額面を設定して有効化する運用が可能なため、権利確定から発送までのスケジュールにも余裕が生まれます。

アプリ移行による有効期限の延長

金券やギフトカードを優待品とする場合に避けにくいのが、期限内に使い切られず少額の残高が失効するという状況です。
プリペイド型Visaギフトカードの中には、使い切れなかった残高を専用アプリへ移行することで、継続して利用できるものがあります。発行会社によっては、アプリへの移行と本人認証を行うことで有効期限を延長できる仕組みも用意されています。

株主にとっては、受け取った優待を自身のペースで使い切ることができ、提供する側にとっては、利用されずに終わる優待を減らせるという効果が見込めます。優待の満足度は金額の水準のみで決まるものではなく、実際に使い切れたかどうかにも左右されます。

スマホを扱う手元

優待品の決定後に残る事務工程

優待品が決まっても、株主優待の運用はそこで完結しません。
通知の発送から株主データの整備、問い合わせ対応、発送に至る一連の工程が残ります。優待品の選定と同程度に、この実行体制の設計が運用負荷を左右します。

<工程と主な作業>

  • 通知・案内:優待通知・申込ハガキ・カタログ等の印刷と発送
  • 申込受付:ハガキの回収とデータ化/WEB申込フォームの構築・受付
  • データメンテナンス:株主マスタの整備、発送先の精査、住所変更の反映
  • カスタマーサポート:優待品に関する問い合わせ、不着・交換の受付
  • 検品・発送:検品、在庫管理、セット組み、指定日発送、返送品の再送

このうち、株主数の増加により負荷が大きく変動するのがデータメンテナンスです。
法人名義や海外在住の株主、住所変更が未反映の株主はそのままでは発送できず、発送前のデータ精度が低い場合は返送と再送という形で後工程に影響します。保有株数の区分によって優待内容に差を設けている場合は、区分ごとの振り分けも必要になり、株主数が増えるほどこの工程の精度が発送品質を左右します。

※関連記事:【資料DLあり】顧客データクレンジング入門ー方法とチェックポイント、DM返送削減のコツ | 株式会社アテナ

問い合わせ対応では、優待品が届かないという連絡、内容に関する質問、住所変更の 受付などが発生します。件数は株主数に比例するうえ、権利確定から発送完了までの 数か月に集中するため、通常業務と並行して対応する場合は担当部門の負荷が 一時的に高くなります。

これらの工程を部門ごとに複数の委託先へ分割して発注すると、窓口が分散し管理が煩雑になりやすい領域です。株主データの取り扱いが複数社にまたがる状況を避ける観点からも、一括して委託できる体制の検討には一定の合理性があります。

※各工程の具体的な内容や委託範囲についてはこちら

※お客様事例はこちら

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まとめ|優待品の選定は運用体制とセットで検討する

本記事では、株主優待の優待品としてプリペイド型ギフトカードを活用する視点を整理しました。
株式分割による最低投資金額の引下げで個人株主が増加し、優待品の発送規模と株主層の幅は以前とは異なる前提に移っています。優待品の選定においては、株主満足度に加えて、事務負担、コストの見通し、受け取りやすさという複数の軸からの検討が有効です。

プリペイド型ギフトカードは、受け取り側の手続きを要さず幅広い株主層が利用できること、在庫や保管の負担が軽いこと、利用実績をデータとして把握できること、使い切れなかった残高を持ち越せる仕組みがあることが特徴です。
優待品の選定は、何を送るかだけでなく、どう運用するかとあわせて検討することで、株主と運用側の双方にとって無理のない制度に近づきます。新たな優待品を検討される際の選択肢の一つとして、ご参考にしていただければと思います。

ひらめく男性のアイコン

「株主数が増えて、優待品の発送コストが読めなくなってきた」
「優待品の在庫管理や保管場所の確保が負担になっている」
「優待品を変えたいが何が適切か分からない」

などの課題がございましたら是非お気軽にご相談ください。
アテナでは、本記事でご紹介したプリペイド型Visaギフトカードをはじめ、金券やデジタルギフトなど優待品の調達・手配からご対応が可能です。優待品の選定とあわせて、申込受付から発送までの運用体制もまとめてご相談いただけます。

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