
【千葉県版】重点支援地方交付金の活用事例|全54市町村の給付施策実施率ランキング
物価高騰対応重点支援地方交付金を活用した給付施策は、令和7年度補正予算分においても各自治体で幅広く実施されていますが、商品券の配布、学校給食費の負担軽減、事業者への支援金交付など、その内容は自治体ごとに大きく異なります。
本記事は、千葉県内54市町村の全219事業を分類・集計し、それぞれの施策を実施している市町村数と実施率を整理しました。
「自らの自治体にはどの施策が適しているのか、他の自治体の事例を参考にしながら検討したい」そうした職員の皆様の検討材料として、施策の選定や庁内でのご検討にお役立ていただければ幸いです。
あわせて後半では、給付事務を受託する事業者の視点から、施策の設計内容によって必要な体制や委託の範囲がどのように変わるのかを整理しました。委託を前提に制度設計を進める場合の論点として、あわせてご覧ください。
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目次[非表示]
- 1.重点支援地方交付金と「特別加算」の枠組み
- 2.千葉県54市町村の活用状況|集計の前提と全体像
- 2.1.集計の方法
- 2.2.生活者支援が約8割を占め、事業者支援は限定的
- 3.【生活者支援】実施市町村数ランキング
- 3.1.1位:商品券・ポイント・地域通貨の配布(41市町村・75.9%)
- 3.2.2位:学校給食費の負担軽減(33市町村・61.1%)
- 3.3.3位:現金給付(17市町村・31.5%)
- 3.4.4位以下:料金の減免から、省エネ家電の買い替え補助まで
- 4.【事業者支援】実施市町村数ランキング
- 5.独自性のある活用事例
- 6.委託を前提に設計する場合の論点|受託事業者の視点から
- 7.委託先をどう選ぶか|一括委託という選択肢
- 8.まとめ|施策の選定と実行体制は、セットで検討する
重点支援地方交付金と「特別加算」の枠組み
物価高騰対応重点支援地方創生臨時交付金(以下、重点支援地方交付金)は、エネルギー価格や食料品価格の高騰による負担増を緩和するため、地方自治体が地域の実情に応じた対策を講じられるよう国が交付する財源です。使途は「生活者支援」と「事業者支援」の2区分で整理され、配分の判断は各自治体に委ねられています。

令和7年度補正予算分では、市区町村を対象に食料品の価格高騰に対する特別加算が設けられました。食料品への支援が事業内容に含まれていれば食料品に限定した事業である必要はなく、日用品にも使える商品券や電子ポイントの給付にも充当できるとされています。
千葉県54市町村の活用状況|集計の前提と全体像
集計の方法
本記事の集計は、内閣府地方創生推進事務局が公表する「令和7年度補正予算 重点支援地方交付金の活用状況について(関東地方)」の令和8年6月時点版を元に、掲載されている県内54市町村、219事業を、事業名と事業概要の記述から生活者支援8分類・事業者支援7分類に仕分け、「何市町村がその分類の施策を実施しているか」を集計しています。

生活者支援が約8割を占め、事業者支援は限定的
項目 | 集計結果 |
|---|---|
対象自治体 | 千葉県内全54市町村 |
掲載事業総数 | 219事業(1市町村あたり平均約4事業) |
うち生活者支援 | 168事業(78.5%) |
うち事業者支援 | 46事業(21.5%) |
生活者支援と事業者支援の比率は、およそ8対2でした。住民の家計を直接支える施策に重点が置かれている構図が読み取れます。
【生活者支援】実施市町村数ランキング
生活者支援170事業を分類し、実施市町村数の多い順に整理したものが以下の表です。
順位 | 分類 | 実施市町村数 | 実施率 |
|---|---|---|---|
1 | 商品券・ポイント・地域通貨の配布 | 41 | 75.9% |
2 | 学校給食費の負担軽減 | 33 | 61.1% |
3 | 現金給付(低所得世帯・住民全般) | 17 | 31.5% |
4 | 水道・下水道料金の減免 | 16 | 29.6% |
5 | 子育て世帯支援 | 13 | 24.1% |
6 | その他 | 7 | 13.0% |
7 | エネルギー・光熱費支援 | 4 | 7.4% |
8 | 福祉施設等の入所者・高齢者向け支援 | 2 | 3.7% |
※本資料は各自治体につき「規模の大きい事業を最大5つ程度」記載したものであり、全事業を網羅したものではありません。本記事の集計は主要事業ベースの数値です。
※1つの市町村が同じ分類で複数の事業を実施している場合があるため、実施市町村数の合計は掲載事業数とは一致しません。
1位:商品券・ポイント・地域通貨の配布(41市町村・75.9%)
最も採用率が高かったのは、商品券・ポイント・地域通貨を住民に配布する方式でした。家計支援と地域内消費の喚起を同時に図れる点が採用理由と考えられます。
配布形態は紙とデジタルに大別されます。
紙型では佐倉市が「生活応援商品券」を1人5,000円分、勝浦市が「かつうらデカ盛り応援券」を1人10,000円分発行しています。

デジタル型では、市川市がデジタル地域通貨「ICHICO」の定額カードを1人4,500円分配布し、カードのポイントをアプリへ移行した住民にさらに1,000円分を付与する設計をとりました。木更津市は電子地域通貨「アクアコイン」で最大20%のポイント還元を実施しています。
なお同一市町村が複数の事業を並行して立てているケースも多く、富津市は「高齢者向け」「低所得世帯向け」「一般向け」の3事業に分けてプレミアム商品券を給付しています。
2位:学校給食費の負担軽減(33市町村・61.1%)
6割の市町村が学校給食費の負担軽減に活用していました。食料品特別加算の活用を明記する事業が多く、加算措置が実施を後押ししたことがうかがえます。
対象の切り分け方には自治体ごとの差異が見られますが、松戸市は小学校分と中学校分を別事業として設定し、柏市は自校方式とセンター方式で事業を分けています。
3位:現金給付(17市町村・31.5%)
現金給付は17市町村が実施していました。対象範囲と給付単位の設計には、はっきりとした違いが見られます。
全住民を対象とする型では、銚子市が市民全員に一律10,000円を給付する一方、船橋市は1人4,000円を給付したうえで住民税非課税世帯等に1世帯10,000円を加算する設計をとっています。全住民一律型と、低所得世帯へ重点配分する型が併存している状況です。

また、多くの市町村が個人単位で給付するなか、木更津市は「1世帯につき5,000円×世帯人数」という世帯単位での支給としました。同じ支給水準でも、個人単位か世帯単位かによって通知の宛先数や事務量は変わってきます。この点は後半の6章であらためて触れます。
4位以下:料金の減免から、省エネ家電の買い替え補助まで
水道・下水道料金の減免は16市町村(29.6%)で、基本料金部分を数か月分免除する方式が中心です。銚子市は水道基本料金を4か月分、千葉市は下水道使用料の一部を6か月分減免しており、いずれも住民の手続きを必要としません。
子育て世帯支援は13市町村(24.1%)で、医療費助成と入学期の負担軽減が目立ちました。富里市は中学校入学を控える児童の制服等購入費として1人20,000円を助成しています。
エネルギー・光熱費支援は4市町村(7.4%)にとどまりましたが、野田市・香取市・山武市はいずれも省エネ家電への買い替え補助、船橋市はエアコンを設置できない世帯への購入費助成と、機器の買い替えを促す設計となっている点が特徴です。
【事業者支援】実施市町村数ランキング
事業者支援46事業の内訳は以下のとおりです。
順位 | 分類 | 実施市町村数 | 実施率 |
|---|---|---|---|
1 | 医療・介護・福祉・保育施設の物価高対策 | 13 | 24.1% |
2 | 農林水産事業者支援 | 9 | 16.7% |
3 | エネルギー・光熱費の負担軽減 | 7 | 13.0% |
4 | 交通・運輸事業者支援(バス・タクシー等) | 4 | 7.4% |
5 | 中小企業の生産性向上・設備投資 | 2 | 3.7% |
6 | 消費喚起(商品券・ポイント等) | 1 | 1.9% |
6 | 観光・宿泊事業者支援 | 1 | 1.9% |
施設種別・規模別の単価設定が主流
最多は医療機関・介護事業所・障害福祉サービス事業所・保育施設への支援でした。光熱水費や食材費の高騰分を支援金として給付する形が中心で、浦安市は介護サービス事業所に対し「居宅介護支援・福祉用具は10万円/事業所、施設系は40万円」と規模別に単価を設定しています。

農林水産事業者支援では、飼料・肥料・燃油の価格高騰への対応が中心です。九十九里町は農業者を収入に応じた5段階、漁業者を漁船の規模に応じた6段階で交付額を設定していました。交通・運輸事業者支援でも、大網白里市が「市内事業者30万円、タクシー1台3万円、バス1台10万円」と車両単位まで単価を分けています。
事業者支援は申請・審査を伴う設計が中心
生活者支援では自動適用型の施策が一定数を占める一方、事業者支援はほぼすべてが申請と審査を伴います。対象事業者からの申請を受け付け、施設種別や規模、対象経費の書類を確認したうえで交付額を確定させる流れが標準的です。採用市町村数は生活者支援ほど多くありませんが、1事業あたりの審査工数は相対的に大きくなる傾向があります。
独自性のある活用事例
集計のなかには、物価高騰対策という枠組みのなかで独自の設計を採用している事例も見られました。使途に一定の裁量があることを示す例として整理します。
事例 | 自治体 | 内容 |
|---|---|---|
防犯カメラ・防犯設備への補助 | 酒々井町、芝山町、鎌ヶ谷市、大網白里市 | ・酒々井町・芝山町:家庭用防犯カメラや録画機能付きインターホンの設置費用を補助(上限2万円) |
証明書のコンビニ交付手数料の減額 | 八千代市、四街道市 | 住民票・税関係証明書等のコンビニ交付手数料を減額 |
成人の予防接種費用の助成 | 君津市 | 予防接種費用の高額化を踏まえ、接種者の負担を軽減 |
観光誘客事業への補助 | 鴨川市 | 宿泊を伴う旅行需要の低下を受け、閑散期の宿泊誘客事業に補助金を交付 |
いずれも物価高騰による負担増を起点としつつ、防犯対策・行政手続きの利便性向上・地域経済の下支えといった別の政策課題と接続させている点が共通しています。
委託を前提に設計する場合の論点|受託事業者の視点から
ここからは給付事務を受託する事業者の視点から、施策の設計内容が委託範囲や運用にどう影響するのかを整理します。
まず「配付型」か「申請型」かで、必要な体制が分かれる
給付施策は、住民側の手続きの有無によって大きく3つの類型に分けられます。この類型の違いが、必要な体制と委託範囲を決定します。
類型 | 住民側の手続き | 必要になる主な工程 | 該当する施策 |
|---|---|---|---|
配付型 | なし(対象者全員に届く) | 対象者抽出→給付物の調達→印刷・封入・発送→問い合わせ対応 | 商品券・ポイント・地域通貨/現金給付 |
申請型 | あり(申請して給付を受ける) | 広報→店舗連携→申請受付→審査→給付→問い合わせ対応 | 省エネ家電等の買い替え補助/事業者支援の各種支援・補助 |
公費充当型 | なし | 庁内で完結。事務局は原則不要 | 学校給食費の負担軽減/水道・下水道料金の減免 |
最も多くの市町村が採用した商品券・ポイント配布(41市町村)と、3位の現金給付(17市町村)は配付型であり、対象者の抽出から給付物の調達、発送、問い合わせ対応までの一連の体制を必要とします。採用率が高い施策ほど実行が軽いわけではない、という構図です。
想定しておくべき例外対応も類型によって異なります。
- 配付型:DV避難者への対応、転入出者の扱い、不着分の再送、代理受取の可否
- 申請型:申請不備の補正、二重申請の検出、予算上限に到達した場合の受付停止
これらの方針を仕様の段階で決めておくかどうかが、運用開始後の混乱の量を左右します。
論点1:給付単位と給付方法が、事業規模と運用の制約を決める
<給付単位>
配付型を選んだ場合、給付単位の設定が発送数、すなわちコストを直接左右します。
- 個人単位
住民基本台帳のデータで対応しやすく、住民一人ひとりに届くため公平感がある一方対象者数がそのまま発送数となる。 - 世帯単位
発送数を大幅に抑えられるが、世帯人数による不平等感が生じる場合があり、世帯構成データの整備にも期間を要する。
受託側の立場から見ると、対象者の抽出がいつ確定するかが、後続工程全体の制約条件になります。また、音声コードの付記など、視覚に障害のある住民への配慮を求める場合も帳票設計の前提条件となるため、要件として早期に確定しておきたいところです。
<給付方法>
銀行振込・プリペイド式ギフトカード・商品券・デジタルギフトなど複数の選択肢があり、それぞれ運用上の制約が異なります。
<例>
- デジタルギフト
即時配付が可能な反面、高齢者の利用ハードルに留意が必要 - プリペイド式ギフトカード
管理画面から有効化・無効化が可能/利用店舗や利用金額が分かるため、次年度の予算要求等の根拠として活用可能
住民構成に応じて、複数の方法を併用する設計も選択肢となります。
論点2:事務委託費は「給付原資」と分けて捉える
給付事業の予算は「給付原資」と「事務委託費」に大きく分かれます。事務委託費は、印刷費・封入発送費・問い合わせ対応費・データ処理費・給付物調達費など複数の費目に整理でき、この内訳が早い段階で見えていると、議会説明や庁内稟議が進めやすくなります。
類似事業の実績を持つ事業者であれば、件数と単価をもとに根拠のある概算を示すことができ、算出根拠まで提示された見積は、予算要求の資料としても使いやすくなります。
また、実際には施策の選定そのものよりも、限られた人員でどのように運用するかが課題となるケースも少なくありません。制度設計とあわせて実施体制の検討を進めておくことで、事業開始後の負荷を抑えやすくなります。
委託先をどう選ぶか|一括委託という選択肢
給付事業には、給付物の調達・管理から事業周知物のデザイン制作、印刷、封入・発送、コールセンター、データ処理まで多岐にわたる業務が発生します。
これらを分割して発注すると、事業者間の調整に工数がかかり、1社の遅れが後続工程に波及し、事業全体のスケジュールに影響することもあります。また、複数社に個人情報を預けることでリスクも高まります。
ここまでの論点を踏まえると、委託先の選定では次のような点が判断軸になります。
- 仕様書の段階から相談でき、下見積によって早期に予算感を示せるか
- 類似事業の実績があり、大量の印刷・発送や申請処理を期日内に完了できるか
- LGWAN接続や第三者認証など、自治体が求めるセキュリティ要件を満たせるか
- 多様な給付方法を提案・調達でき、調達から住民対応までを一貫して担えるか
委託先を選ぶ際の具体的な基準や、実際に給付事業を一括委託した自治体の事例については、以下の記事で詳しく解説しています。
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【配付型】全区民約7万人へのプリペイド式ギフトカード配付を、調達から封入・発送、コールセンターまで一括で委託し、現金給付では10名程度だった体制を係長と担当者の2名で実現された事例です。
【申請型】1日に200件近い申請が集中していた省エネ家電の買い替え補助を、特設サイトの制作から申請の受付・審査まで委託してオンライン化し、市民の来庁を不要にした事例です。
まとめ|施策の選定と実行体制は、セットで検討する
千葉県内54市町村の活用状況を集計した結果、生活者支援が全体の約8割を占め、なかでも商品券・ポイント・地域通貨の配布が41市町村(75.9%)、学校給食費の負担軽減が33市町村(61.1%)と、この2分類が突出して高い採用率を示しました。事業者支援では医療・介護・福祉・保育施設への支援が13市町村で最多となっています。
一方、採用率の高さと実行段階で必要になる体制の重さは連動しません。給食費や料金減免は公費充当型で住民との書類のやり取りが生じない設計ですが、最も多くの市町村が採用した商品券・ポイント型の配布や現金給付は配付型にあたり、対象者の抽出から給付物の調達、発送、問い合わせ対応まで、一連の事務局運営体制の構築が必要となります。
そのため、施策の内容を検討する段階で、配付型か申請型かの見極め、給付単位と給付方法の選定、事務委託費の費目、仕様書に盛り込む条件までを一体で整理しておくことが、実行段階の負荷軽減につながります。
また、事業実施にあたり、業務委託を選択肢として検討する場合は、仕様確定の前の段階から受託事業者とこれらの論点を共有しておくことが、事業を円滑に進めるうえで重要です。

「対象者抽出から通知発送までを、庁内の人員だけでは対応しきれない」
「申請の受付・審査から問い合わせ対応まで一括して委託できる先を探している」
「商品券やギフトカードの配布業務を、セキュリティを確保した環境で委託したい」
などの課題がございましたら是非お気軽にご相談ください。
アテナでは、年間1億5,000万通のメーリング実績と自治体の給付金・補助金事務局の運用実績をもとに、帳票設計・通知発送から申請受付・審査、コールセンター対応、支給処理までワンストップで対応いたします。
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