人手不足でも回る自治体運営へ。事務局業務の委託で継続性を確保する方法


人手不足でも回る自治体運営へ。事務局業務の委託で継続性を確保する方法。

近年、全国の自治体では人手不足が深刻な課題となっています。少子高齢化による労働人口の減少に加え、都市部への人口集中により、地方自治体では若手職員の採用が困難な状況が続いています。採用活動が思うように進まず、定年退職による人員減少も重なり、限られた職員で膨大な業務をこなさなければならないという厳しい現実があります。

自治体業務は、住民の生活に密接に関わる重要なものばかりです。福祉・子育て支援・税務・防災・補助金事業など、制度変更や国の施策に応じて新たな業務が急増することもあり、職員の負担は増加の一途を辿っています。その結果、業務の遅延や住民サービスの質の低下といった問題が顕在化しています。

人手不足の影響は自治体内部に留まらず、住民サービスの遅延や対応品質の低下は、地域住民の生活の質にも直結します。特に高齢者や子育て世代など、行政サービスへの依存度が高い層にとっては、自治体の機能低下が生活の不安要素となり得るでしょう。

こうした状況を打開するには、自治体自身が従来の運営スタイルを見直し、外部リソースの活用を含めた柔軟な体制構築が不可欠です。

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  • 人手不足で業務を回すことで手一杯

  • コストを抑えながらサービスの質も向上させたい

本記事では、自治体職員が抱える課題と、それを解決する手段のひとつとして注目される「BPO(業務委託)」の活用について、実例や導入のポイントを交えながら解説します。

深刻化する人手不足と自治体業務の現状

自治体運営における人材確保は、年々難しさを増しています。
採用難や職員の高齢化に加え、業務の増加・複雑化が進み、限られた人員で多様な業務を担う体制が求められています。ここでは、自治体が直面する人手不足の背景と業務の変化について整理します。

採用難と職員構成の変化

地方自治体では、若手職員の採用が年々困難になっています。公務員志望者の減少や都市部への人口集中により、地元での人材確保が難しくなっているのが現状です。結果として、職員の年齢構成が高齢化し、定年退職による人員減少が加速しています。

業務の複雑化と増加

自治体が担う業務は、国の施策や制度変更に応じて急増します。例えば、コロナ禍では給付金事業やワクチン接種関連業務が突発的に発生し、通常業務に加えて膨大な事務処理が求められました。職員は新たな施策・制度において、横断的な知識や調整力が求められるようになり、業務が複雑化される傾向にあります。また、こうした業務は制度への対応だけでなく迅速な対応も求められる短期集中型であることが多く、既存の体制では対応しきれないケースが増えています。

業務の属人化・断片化がもたらす運営リスク

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人手不足だけでなく、業務の属人化や断片化も自治体運営に影響を及ぼす要因となっています。制度変更や人事異動が頻繁な自治体では、業務の引き継ぎや対応力に課題が生じやすく、結果として住民サービスの質にも影響が出ることがあります。
この章では、こうした運営上のリスクと、それにどう向き合うべきかを考えていきます。

異動制度があるからこそ起こる「引き継ぎの壁」

自治体では定期的な人事異動が行われるため、属人化は抑制されているように見えます。しかし、異動のたびに業務の引き継ぎが十分に行われないまま現場が回ってしまうケースも少なくありません。制度運用や住民対応など、細かな判断が求められる業務では、マニュアルだけでは対応しきれず、前任者のノウハウが失われるリスクがあります。

業務の断片化と制度変更による負荷増

国や都道府県からの施策に応じて新たな事業が追加されることで、職員は複数の事業を並行して担当することになり、業務が断片化しやすくなります。制度変更が頻繁な分野では、既存業務の見直しや新たな対応が求められ、現場の負担が増加します。

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業務委託(BPO)という自治体業務の新たな選択肢

BPOは単なる外注ではなく、業務の棚卸・標準化・分業化を通じて、限られた人員でも業務が回る仕組みを構築する手段です。定型業務を切り出すことで、職員はコア業務に集中でき、業務の継続性と品質を両立することが可能になります。

人手不足でも業務が回る、自治体運営の仕組み

BPOの概要と自治体業務への適用

BPOとは、業務の一部または全部を外部の専門事業者に委託することで、組織のリソースをコア業務に集中させることを可能にする仕組みです。民間企業ではすでに広く活用されており、コスト削減や業務品質の向上、柔軟な人材活用などの効果が報告されています。

自治体においても、申請受付、審査、通知発送、問い合わせ対応など、定型的かつ大量処理が求められる業務にBPOを適用することで、職員の負担軽減と業務の安定運用が期待されています。特に繁忙期や一時的な業務増加時において、外部リソースの活用は有効な手段となります。

自治体におけるBPO導入の広がり

近年では、給付金事業、子育て支援、介護保険関連業務など、住民対応を含む業務領域にもBPOの導入が進んでいます。これにより、職員はより専門性の高い業務や政策立案に注力できるようになり、結果として行政サービス全体の質の向上につながっています。

また、BPOは業務改善のパートナーとしての役割を果たすことが期待されています。業務フローの見直しや、ICTの活用による業務効率化提案など、委託先との連携によって、自治体業務の持続可能性を高める取り組みも進んでいます。

人手不足対策としてのBPO活用のメリット

BPOの導入によって得られる効果は、業務効率化だけに留まりません。「人手不足でも業務が回る」体制づくりに直結する点が、自治体運営においては特に重要です。例えば、標準化によって属人化を防ぎ、繁忙期には柔軟な人員配置で対応可能となることで、限られた職員数でも安定した運営が可能になります。
以下では、BPO活用によって得られる主なメリットを整理します。

  • 業務の標準化と継続性の確保
    業務マニュアルやフローの整備により、属人化を防ぎ、誰でも対応可能な体制が構築されます。
  • 採用・教育コストの削減
    新たな人材を採用・育成する必要がなく、委託先が確保した人材を即戦力として活用できます。
    これにより、採用活動やOJTにかかる負担を大幅に軽減できます。
  • 柔軟な人員配置と業務対応
    業務量の変動に応じて人員を調整できるため、繁忙期や突発的な業務にも対応しやすくなります。
  • 職員の本来業務への集中
    事務的な業務を外部に委託することで、職員は企画・政策立案などの中核業務に専念できます。

これらのメリットを活かすことで、限られた人員でも安定した自治体運営を実現するための土台づくりが可能になります。

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自治体業務BPOの導入事例と運用のポイント

BPOの活用が広がる中で、実際にどのような業務が委託され、どのような体制で運用されているのかを知ることは、導入を検討する自治体にとって大きな参考になります。この章では、当社が実際にサポートを行った自治体業務BPO事例についてご紹介します。

神奈川県伊勢原市様―省エネ家電買換え応援キャンペーン

物価高騰に直面する市民の支援と温室効果ガス排出量削減の推進を目的とし、物価高騰対応重点支援地方創生臨時交付金を活用した給付金施策として、省エネ家電を購入した市民へ対象家電の本体購入費2分の1の額をキャッシュバックする施策を実施。当社は広報活動から申請受付(Web/郵送)・審査、問い合わせ対応まで、事務局運営を包括的に支援し、円滑な事業推進をサポートしました。
本事例において課題となった点とBPO導入により解決したポイントは以下の通りです。
  •  課題 
  • 施策人気に伴う申請増加によるキャパオーバー
  • 申請書類の物理的管理負荷
  • 申請に伴う市民負担の軽減課題
  •  解決 
  • 業務委託により庁内での人員補充なく事業を遂行し、品質も担保
  • Web申請の導入で市民の利便性向上だけでなく、職員負担や物理的管理負担も軽減
  • 説明会の実施や店舗訪問により地域事業者との連携も密に実施

申請件数の急増により、伊勢原市様では従来の職員体制・運用では対応が困難となっていましたが、BPOを導入することで庁内負担を最小限にスムーズな業務運営が実現しました。

※詳しくは下記の事例をご覧ください。

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まとめ:持続可能な自治体運営のための実践的対策

BPOは、単なる業務委託ではなく、「人手不足でも業務が回る」自治体運営を支える実践的な仕組みです。業務の標準化や外部リソースの活用によって、継続性と品質を両立した体制づくりが可能になります。外部リソースの活用は、自治体の運営体制を補完する有効な選択肢です。持続可能な運営を目指すうえで、柔軟な体制構築の一助となるでしょう。

アテナでは、自治体様の課題に寄り添い、最適なBPOソリューションをご提案しています。

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などの課題がございましたら是非お気軽にご相談ください。

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株式会社アテナは、DM発送・コンタクトサービス・ロジスティクス・プリント・DX推進など、7つのサービスを組み合わせた独自のソリューションを提供する総合BPO企業です。 「お客様の業務課題を解決すること」を使命とし、業務の効率化・品質向上・コスト削減を支援。多様な業界・業務に対応した柔軟なサービス設計で、企業・自治体・官公庁など幅広いお客様の課題に寄り添い、最適なアウトソーシングを実現しています。